top of page

特定技能「介護」とは?制度の概要や受け入れ要件、業務範囲についてわかりやすく解説

執筆者の写真: 干泥 信隆
干泥 信隆
8月28日
読了時間: 15分
  • 特定技能「介護」は、そもそもどんな仕組み?

  • 外国人介護士を採用したいが、制度の詳細を知りたい

こうしたお悩みはありませんか?


人手不足が深刻化するなか、特定技能「介護」は即戦力となる外国人材を受け入れられる制度として注目されています。


一方で、受け入れ要件や対象施設、他の在留資格との違いなど、事前に押さえておくべきポイントは多岐にわたります。


本記事では、特定技能「介護」の制度概要から取得ルート、施設側の要件、2025年の訪問介護解禁、2027年に予定される育成就労制度への移行まで、採用担当者が知っておきたい情報を網羅的に解説します。


特定技能「介護」について調査を行っている方は、ぜひ最後までご覧ください。



特定技能「介護」とは?制度の基本を解説

「特定技能」は2019年に新設された在留資格で、人手不足が深刻な分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材を即戦力として受け入れるための制度です。


介護分野はこの特定技能制度の対象分野の1つであり、身体介護を中心とした幅広い業務を任せられる点が特徴です。


ここでは、制度上の位置づけや対象業務、2025年の制度改正について解説します。


特定技能制度における「介護」分野の位置づけ

「特定技能」という在留資格そのものは、特定技能1号と特定技能2号の2種類に分かれています。


このうち介護分野が対象となるのは特定技能1号のみで、2026年時点では特定技能2号に介護は含まれていません。


つまり「特定技能『介護』」という呼び方は正式な在留資格名ではなく、「特定技能1号のうち介護分野に従事する人材」を指す通称です。


厚生労働省や出入国在留管理庁の資料でも「特定技能1号『介護』分野」と表記されており、まずはこの位置づけを正しく理解しておくことが、後述する他の在留資格との違いを把握するうえでも重要です。



特定技能「介護」が生まれた背景

日本の介護業界では、高齢化の進行に伴う需要拡大に対して、担い手となる人材の供給が追いついていない状態が続いています。


厚生労働省の推計によると、介護職員は2040年度に約272万人が必要とされ、2022年度比で約57万人(年間約3.2万人ペース)の増員が必要とされています。


こうした深刻な人材不足を背景に、2019年4月に「特定技能」制度が創設され、介護分野もその対象に加えられました。


技能実習のような国際貢献目的ではなく、「即戦力となる外国人材を確保する」ことを明確な目的とした制度である点が、特定技能「介護」の大きな特徴です。



特定技能「介護」で任せられる業務内容

特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人には、身体介護(食事、入浴、排泄などの介助)を中心に、生活援助(掃除・洗濯等)やレクリエーションの実施、機能訓練の補助といった周辺業務も任せられます。


ただし、訪問系サービスについては長らく対象外とされてきた経緯があり、この点は次項で解説する2025年の制度改正で状況が変わりました。


なお、介護福祉士でなければ行えない特定の医療的ケア(喀痰吸引等)は、別途研修を修了した場合に限り対応可能です。


2025年4月から訪問介護も対象に

特定技能「介護」は制度創設当初、訪問介護をはじめとする訪問系サービスへの従事が認められていませんでした。


しかし、人手不足が深刻な訪問介護分野からの要望を受け、2025年4月21日より、一定の要件を満たす場合に限り訪問介護等の訪問系サービスへの従事が解禁されました。


対象となるのは訪問介護、訪問入浴介護など一部のサービスで、事業者側には利用者とのトラブル防止のためのICT機器導入やマニュアル整備、同行研修の実施など、通常の施設介護よりも手厚い受け入れ体制の整備が求められます。


訪問介護における具体的な受け入れ要件や手続きの流れは、以下の記事で詳しく解説しています。




特定技能「介護」の取得ルート(4パターン)

外国人が特定技能「介護」の在留資格を取得するルートは、大きく4つに分かれます。


技能実習や養成施設など、それまでのキャリアによって適用されるルートが異なるため、採用候補者がどのルートに該当するかを把握しておくと、受け入れ準備がスムーズになります。


①技能評価試験・日本語試験に合格する

最も基本的なルートは、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」、そして日本語能力を測る「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」に合格する方法です。


介護技能評価試験・介護日本語評価試験はプロメトリック社が全国47都道府県でほぼ毎月実施しており、合格率はおおむね60〜70%台で推移しています。


技能実習2号を良好に修了した人材、介護福祉士養成施設を修了した人材、EPA介護福祉士候補者として4年間の在留期間を満了した人材は、これらの試験が免除されます。



②技能実習2号(育成就労)から移行する

介護職種で技能実習2号を良好に修了した人材は、試験を受けることなく特定技能「介護」へ移行できます。


技能実習で培った実務経験がそのまま評価されるため、事業所にとっても即戦力として受け入れやすいルートです。


なお、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行する予定で、今後はこのルートが「育成就労からの移行」に置き換わっていきます(詳細は後述します)。


③介護福祉士養成施設を修了する

厚生労働省が指定する介護福祉士養成施設(専門学校等)を修了した人材も、試験を受けずに特定技能「介護」の対象となります。


養成施設では2年以上にわたり介護の専門知識・技術を体系的に学ぶため、実務経験の有無にかかわらず一定の技能水準が担保されている点が特徴です。


④EPA介護福祉士候補者として在留期間を満了する

インドネシア・フィリピン・ベトナムとの経済連携協定(EPA)に基づき来日した「EPA介護福祉士候補者」が、4年間の在留期間を満了した場合も、試験免除で特定技能「介護」へ移行できます。


EPA制度は本来、候補者が介護福祉士国家試験の合格を目指す仕組みですが、在留期間中に合格に至らなかった場合の受け皿としても、このルートが機能しています。


特定技能「介護」の受け入れ要件(施設側)

特定技能「介護」の外国人材を受け入れるには、人材側の要件だけでなく、受け入れる事業所側にもクリアすべき要件があります。


ここでは施設側が押さえておくべき4つのポイントを解説します。


介護分野特定技能協議会への加入

介護分野で特定技能外国人を受け入れる事業所は、「介護分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。


加入時期の目安としては、外国人を受け入れてから4か月以内に協議会の構成員となり、必要な情報登録を行う必要があります。


協議会は制度の適正な運用や情報共有を目的とした組織で、未加入のまま受け入れを継続することはできません。



受け入れ人数の上限

特定技能「介護」の受け入れ人数には上限があり、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員の総数」を超えて受け入れることはできません。


例えば常勤の介護職員が15名の事業所であれば、受け入れられる特定技能外国人も最大15名までとなります。


この計算に含まれる「日本人等」にはEPA介護福祉士や永住者等も含まれる一方、技能実習生やEPA候補者(特定活動)はカウントされないため、注意が必要です。


なお、介護分野全体では2024〜2028年度の5年間で最大13万5,000人という受け入れ見込み数も設定されています。


雇用形態・給与などの待遇要件

特定技能「介護」の雇用形態は直接雇用に限られ、人材派遣による受け入れは認められていません。


また給与水準についても、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬を支払うことが求められます。


国籍を理由に賃金や労働条件を不利に扱うことは制度上禁止されており、待遇面での公平性を担保することが受け入れの前提となります。


1号特定技能外国人支援計画の実施義務

受け入れ事業所には、外国人が安心して生活・就労できるよう支援する「1号特定技能外国人支援計画」の作成・実施が義務付けられています。


支援内容は入国前ガイダンスや空港への送迎、住居確保のサポート、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、定期的な面談など10項目にわたります。


これらの支援は自社で行うほか、登録支援機関に委託することも可能です。


特定技能「介護」の受け入れ可能施設・対象外施設

特定技能「介護」で外国人材を受け入れられる施設は、「介護福祉士国家試験の実務経験として認められる施設かどうか」「介助業務が業務の中心にあるかどうか」という2つの基準で判断されます。


具体的には、以下の5分野に該当する施設・サービスが対象です。


老人福祉法・介護保険法関係

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、通所介護(デイサービス)、訪問介護、短期入所生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など

障害者総合支援法関係

居宅介護、重度訪問介護、障害者支援施設、生活介護、就労継続支援など

児童福祉法関係

児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設など

生活保護法関係

救護施設、更生施設

その他

地域福祉センター、病院・診療所(介助業務が付随する場合)など


一方、調理業務や清掃業務、事務作業のみを主とする業務は対象外となるほか、施設側が直接介護を提供せず外部の訪問介護事業者と利用者が個別に契約する「住宅型有料老人ホーム」のような形態も、原則として受け入れ対象には含まれません。


自社の事業所が対象になるかどうか判断に迷う場合は、上記2つの基準に照らして確認することをおすすめします。


特定技能「介護」を受け入れるメリット・デメリット

特定技能「介護」の活用には、採用力の強化につながるメリットがある一方、事業所側が備えておくべき注意点もあります。


導入を検討する際は、双方をあらかじめ把握しておくことが大切です。


事業所側のメリット

最大のメリットは、即戦力人材を確保できる点です。


技能実習と異なり、特定技能「介護」の人材はすでに一定の技能・日本語力を有しているため、教育コストを抑えながら早期に現場で活躍してもらいやすくなります。


また、夜勤業務への配置や人員配置基準への算入が認められているため、実質的に日本人職員と同等の戦力として扱える点も大きな利点です。


在留期間も技能実習より長く設定でき、5年(延長措置により最長6年)にわたって安定的に雇用できる点も、定着を重視する事業所にとって大きなメリットです。


事業所側の注意点・デメリット

一方で、特定技能には転職の自由が認められているため、他の事業所への転職によって人材が流出するリスクがあります。


技能実習のように受け入れ機関の変更が原則不可という制限がない分、待遇や職場環境に不満があれば人材が離れてしまう可能性は否定できません。


また、支援計画の実施や日本語学習のサポート体制構築には一定の労力がかかるため、体制が整っていない事業所にとっては負担に感じられる場合もあります。


転職リスクへの対策としては、日頃からのコミュニケーションや処遇改善を通じた定着支援が重要になります。


特定技能「介護」と他の在留資格との違い

外国人介護士が日本で働くための在留資格は、特定技能「介護」だけではありません。


技能実習、在留資格「介護」、特定活動(EPA)といった複数の制度が併存しており、それぞれ目的や要件が異なります。


採用戦略を考えるうえでも、これらの違いを理解しておくことが欠かせません。


技能実習「介護」との違い

技能実習「介護」は、開発途上国への技能移転による国際貢献を目的とした制度であり、人手不足対応を目的とする特定技能「介護」とは制度趣旨が異なります。


在留期間は最長5年で、原則として受け入れ機関の変更(転籍)はできません。


前述の通り、技能実習2号を良好に修了すれば試験免除で特定技能「介護」へ移行できるため、技能実習は特定技能へのステップアップの入り口として位置づけられています。


なお、技能実習制度は2027年に「育成就労制度」へ移行が予定されています。


在留資格「介護」との違い

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した人材のみが対象となる在留資格です。


特定技能「介護」と異なり在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能なため、より長期的・安定的に日本で働き続けたい人材に適しています。


特定技能「介護」の在留期間中に介護福祉士国家試験に合格すれば、在留資格「介護」へ切り替えることができ、事業所にとっても人材の長期定着につながる選択肢となります。


詳しい取得条件やルートは以下の記事で解説しています。



特定活動(EPA)との違い

特定活動(EPA介護福祉士候補者)は、経済連携協定に基づきインドネシア・フィリピン・ベトナムから来日する候補者向けの在留資格で、在留期間中(原則4年)に介護福祉士国家試験の合格を目指す制度です。


合格すれば在留資格「介護」へ移行でき、不合格のまま期間が満了した場合は特定技能「介護」へ移行するケースが一般的です。


つまり特定活動は、技能実習と同様に特定技能「介護」への移行前段階として機能する制度といえます。


特定活動から特定技能への移行準備について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。



4つの在留資格の比較表

ここまで解説してきた4つの在留資格の違いを、以下の表にまとめました。


技能実習「介護」

特定技能「介護」

特定活動(EPA)

在留資格「介護」

目的

国際貢献(技能移転)

人手不足対応

国家試験合格を目指す

専門職としての就労

在留期間

最長5年

通算5年(延長で最長6年)

原則4年

上限なし

家族帯同

不可

不可

不可

可

転籍・転職

原則不可

可

制限あり

可

取得要件

送出機関経由の実習生

試験合格 or 技能実習2号修了等

EPA協定国からの候補者

養成施設卒業 or 実務経験+国家試験合格


2027年「育成就労制度」への移行で何が変わるか

技能実習制度は、2027年4月に「育成就労制度」へ移行することが決定しています。


介護分野の外国人材受け入れにも影響する制度改正のため、あらかじめ変更点を押さえておきましょう。


技能実習制度の廃止と移行スケジュール

育成就労制度は、2024年6月の法改正により創設され、2027年4月1日に施行される予定です。


施行後は新たに技能実習の在留資格で外国人を受け入れることはできなくなり、技能実習制度は原則廃止されます。


ただし3年間の移行期間が設けられており、施行時点ですでに在留している技能実習生は、引き続き技能実習制度のルールの下で就労を続けられます。


育成就労は、技能実習が抱えていた国際貢献という制度趣旨と実態の乖離を見直し、「特定技能1号の水準の人材を育成すること」を目的として掲げている点が大きな違いです。


育成就労から特定技能「介護」への新たな接続ルート

育成就労制度における在留期間は原則3年で、技能実習2号と同様に、修了後は試験免除で特定技能「介護」へ移行できる仕組みが維持される見込みです。


育成就労→特定技能1号「介護」→(国家試験合格により)在留資格「介護」という段階的なキャリアパスは、今後も基本的な枠組みとして続いていくと考えられます。


事業所側としては、名称や制度設計は変わっても、「入口となる制度から特定技能へ、そして在留資格『介護』へ」という人材育成の流れ自体は大きく変わらないという前提で、中長期的な採用計画を立てておくとよいでしょう。


特定技能「介護」に関するよくある質問

最後に、特定技能「介護」に関してよく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。


特定技能から介護福祉士になれる?

はい、可能です。


特定技能「介護」の在留期間中に実務経験を積みながら介護福祉士国家試験の受験資格を満たし、試験に合格すれば、在留資格「介護」へ切り替えることができます。


在留資格「介護」に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になるため、長期定着を目指す人材にとって明確なキャリアパスとなります。


国家試験の受験方法や最新の合格率については、以下の記事で詳しく解説しています。



受け入れ可能施設・対象外施設特定技能介護試験の合格率は?

特定技能「介護」の取得に必要な「介護技能評価試験」「介護日本語評価試験」の合格率は、実施回によって変動はあるものの、おおむね60〜70%台で推移しています。


試験は全国47都道府県でほぼ毎月実施されており、不合格でも繰り返し受験が可能です。


なお、介護福祉士国家試験とは別の試験のため、混同しないよう注意が必要です。


老人福祉法・介護保険法関係特定技能2号は介護分野にはない?

はい、2026年時点で介護分野に特定技能2号は設けられていません。


特定技能2号は在留期間の更新上限がなく家族帯同も可能な、より上位の在留資格ですが、介護分野では「特定技能『介護』の先には在留資格『介護』がある」という制度設計になっているため、2号が設定されていないと考えられます。


将来的に対象分野が拡大される可能性はありますが、2026年8月時点では建設や造船・舶用工業など一部分野に限定されています。


まとめ:特定技能「介護」の受け入れを成功させるために

特定技能「介護」は、深刻な人手不足に対応するために生まれた制度であり、技能実習や在留資格「介護」とも連携しながら、「育成→即戦力化→定着」という一連のキャリアパスを形づくっています。


受け入れには施設側の要件や支援計画の実施義務など、事前に準備すべきことも少なくありません。


また、長期雇用の目線からも、日頃からのコミュニケーションを行うことは重要になります。


Sakulaでは、外国人介護士専門の実務者研修養成施設を提供しております。

「外国人介護士の資格取得率を強化したい」「これから外国人介護士を積極的に採用したい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。


コメント


bottom of page