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特定技能と特定活動の違いとは?介護事業所が知っておきたい移行準備のポイントを解説

  • 執筆者の写真: 干泥 信隆
    干泥 信隆
  • 8月1日
  • 読了時間: 12分

外国人介護士の採用を進める中で、次のような悩みを抱えていないでしょうか。

  • 特定技能への切り替え手続きがどこまで進んでいるか分からない

  • 「特定技能」と「特定活動」の違いがよく分からない

  • 5年の期限や家族帯同ができない点が心配


こうした悩みは、2つの在留資格の違いと、技能実習から特定技能への移行準備で使われる特定活動の仕組みを理解することで解決できます。


本記事では、特定技能と特定活動の基本的な違いを比較表で整理したうえで、移行準備としての特定活動の申請要件・必要書類・注意点など、介護事業所が押さえておきたいポイントを解説します。


外国人材の受け入れや移行準備を担当している方は、ぜひ最後までご覧ください。



「特定技能」と「特定活動」は何が違う?

外国人介護士の採用や在留資格の切り替えを進めていると、「特定技能」と「特定活動」という似た言葉に戸惑う担当者は少なくありません。


この2つは名前こそ似ていますが、制度の目的も在留期間も家族帯同の扱いもまったく異なる別の在留資格です。まずは主な違いを表で整理してから、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

比較項目

特定技能1号

特定活動(移行準備)

目的

人手不足分野での就労

特定技能への切り替えが完了するまでの「つなぎ」

在留期間

通算5年が上限

原則6か月(更新は1回のみ)

家族帯同

不可

不可(限定目的の在留資格のため)


目的の違い

上記の表の通り、特定技能は、介護をはじめとした人手不足分野で一定の技能・日本語力を持つ人に働いてもらうための在留資格で、あくまで「就労」を前提に設計されています。


一方の特定活動は、他のどの在留資格にも当てはまらない活動のために法務大臣が個別に指定する在留資格で、必ずしも就労を主目的としていない点が特定技能との大きな違いです。


技能実習から特定技能へ切り替える際の「移行準備期間」も、この特定活動の枠組みで運用されています。


在留期間の違い

特定技能1号は通算5年が上限で、更新を重ねてもこの期間を超えて滞在することはできません。技能実習から特定技能への移行準備で使われる特定活動は、原則6か月しか付与されず、更新できるのはやむを得ない事情が認められた場合の1回のみです(出典:出入国在留管理庁)。


「準備期間だから長めに使える」という考え方は通用しないため、事業所側もスケジュールを前倒しで管理しておくと安心です。


家族帯同の可否

特定技能1号では配偶者や子どもを呼び寄せる家族帯同は認められておらず、介護分野には家族帯同が可能な特定技能2号も存在しないため、特定技能だけで家族帯同を実現する道は現状用意されていないのが実情です。


家族を伴って長期的に働き続けたい場合は、介護福祉士を取得し在留資格「介護」へ切り替えるルートを目指すことになります。特定活動も限定的な目的で付与される在留資格のため、家族帯同を前提とした制度ではありません。


「特定技能」とは

ここからは、特定技能という制度そのものを詳しく見ていきましょう。特定技能には「1号」と「2号」の2区分がありますが、介護分野で実際に運用されているのは1号のみという点がまず押さえておきたいポイントです。


それぞれの違いと、対象となる分野の広がりを確認していきます。


特定技能1号

特定技能1号で働くには、主に次の試験への合格が必要です。

  • 介護技能評価試験

  • 介護日本語評価試験

  • 日本語能力試験N4以上(またはJFT-Basic)

ただし、技能実習2号を良好に修了した人はこれらの試験が免除されるため、技能実習からのスムーズな移行ルートとして広く活用されています。


在留期間は通算5年が上限で家族帯同は認められておらず、あくまで即戦力として働いてもらうための在留資格です。5年という期限がある以上、受け入れ当初からその後のキャリアをどう描くか考えておくことが欠かせません。


特定技能2号

特定技能2号は建設や造船などの一部分野で在留期間の上限がなく家族帯同も可能な区分ですが、介護分野には特定技能2号が設けられていません


介護分野にはすでに介護福祉士という国家資格による技能確認の仕組みがあり、資格取得者は在留資格「介護」に変更することで期間の上限なく更新しながら家族帯同も可能になるためです(出典:国際厚生事業団)。


つまり介護分野では、特定技能2号の代わりに「介護福祉士取得→在留資格「介護」」というルートが用意されていることになります。


対象となる16分野(介護を含む)

特定技能の対象分野は2024年の閣議決定で12分野から16分野に拡大されました(出典:出入国在留管理庁)。現在の対象分野は以下の通りです。

  • 介護

  • ビルクリーニング

  • 工業製品製造業

  • 飲食料品製造業

  • 外食業

  • 建設

  • 造船・舶用工業

  • 自動車整備

  • 航空

  • 宿泊

  • 農業

  • 漁業

  • 自動車運送業

  • 鉄道

  • 林業

  • 木材産業

介護は制度創設当初から対象に含まれる16分野のひとつで、人手不足が特に深刻な分野として位置づけられています。分野ごとに家族帯同やキャリアの見通しが異なるため、介護分野ならではの制度設計を理解しておくことが欠かせません。


「特定活動」とは

特定活動と一口に言っても、その中身は制度上大きく3つのタイプに整理されています。どのタイプに該当するかによって、確認すべき根拠や手続きの流れが変わってくるため、まずは全体像を押さえておきましょう。


法定特定活動

法定特定活動とは、出入国管理及び難民認定法の別表第一の五に直接規定されている活動類型です。主に次の2つの活動と、その家族滞在活動が該当します(出典:出入国在留管理庁)。

  • 特定研究活動:高度な専門知識を活かした研究・研究指導に従事する活動

  • 特定情報処理活動:自然科学・人文科学分野の知識を要する情報処理業務に従事する活動

特定活動の中でも対象となるケースは比較的限られている類型で、介護事業所が直接関わる場面は多くありません。


告示特定活動

告示特定活動は、法務大臣が告示という形で個別に類型を指定している活動です。主な例として、次のようなケースが挙げられます。

  • EPAに基づく介護福祉士候補者(出典:出入国在留管理庁

  • ワーキングホリデーの利用者

  • 本記事のテーマである「特定技能1号への移行準備(6か月・就労可)」

告示によって要件や在留期間があらかじめ定められているため、該当するかどうかを比較的判断しやすいのが特徴です。


告示外特定活動

告示外特定活動は、法律にも告示にも定めのない個別の事情について、出入国在留管理局がケースごとに審査して許可する活動です。


画一的な基準が存在しない分、個々の事情に応じた柔軟な対応が可能である一方、審査の見通しが立てにくいという側面もあります。他の在留資格の要件からわずかに外れるものの、人道的な配慮などから在留を認める必要があると判断された場合などが想定されます。


特定技能への移行準備として「特定活動」を活用するケース

技能実習2号を良好に修了した人が引き続き特定技能1号として働き続けたいと考えても、在留期限までに変更許可が下りるとは限りません。


出入国在留管理局の審査には一定の時間がかかるため、申請自体は期限内に済ませていても、結果が出る前に技能実習の在留期限を迎えてしまうケースが起こり得ます。


このすき間を埋めるために活用されるのが、告示特定活動のひとつである「特定技能1号への移行準備(6か月・就労可)」です。技能実習の在留期限が迫っているにもかかわらず特定技能の審査結果が届かない、という相談は決して珍しくありません


この特定活動の存在を知っているかどうかで、採用担当者の対応スピードは大きく変わってきます。


移行準備としての特定活動の申請方法

移行準備としての特定活動を活用するには、誰でも自動的に許可されるわけではなく、いくつかの要件を満たしたうえで所定の書類を提出する必要があります。要件と必要書類を事前に把握しておくことが、スムーズな移行準備の第一歩です。


申請できる主な要件

移行準備としての特定活動が認められるには、主に次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 在留期限までに特定技能への変更許可申請を完了することが困難な、やむを得ない事情があると認められること

  • 技能評価試験・日本語試験に合格している、または技能実習2号を良好に修了し試験が免除されていること

  • 特定技能で従事する予定の業務と同種の業務に、日本人と同等以上の報酬で従事していること

これらすべてを満たして初めて、移行準備のための特定活動が認められるため、事業所側は早い段階から要件充足の状況を確認しておくと安心です。


必要書類

移行準備としての特定活動を申請する際は、主に次の書類の提出が求められます。

  • 在留資格変更許可申請書

  • 特定技能所属機関概要書

  • 雇用契約書(報酬・業務内容が特定技能の要件を満たすことを示すもの)

  • 技能評価試験・日本語試験の合格証明書、または技能実習2号良好修了を証する書類

書類に不備があると審査がさらに長引く原因になるため、受入れ機関側でチェックリストを用意し、提出前に漏れがないか確認しておくことをおすすめします。


特定活動で気をつけたい3つのポイント

移行準備としての特定活動は便利な制度である一方、いくつかの落とし穴もあります。知らずに進めてしまうと、採用スケジュールそのものが崩れかねないため、事前に3つのポイントを押さえておきましょう。


原則1回限りの利用

移行準備としての特定活動は、やむを得ない事情が認められた場合に限り更新が1回だけ認められていますが、それ以上の延長は原則として想定されていません(出典:出入国在留管理庁)。


「時間が足りなければまた延長すればいい」という考え方は通用しない制度設計になっている点を理解し、変更許可申請は可能な限り早いタイミングで行っておくことが重要です。


受入れ機関の変更は不可

移行準備としての特定活動は、技能実習から特定技能への切り替えを前提に許可されるものであるため、この期間中に受入れ機関(勤務先)を変更することは原則として認められていません


技能実習時代とは別の介護事業所で働きたいと考えていても、移行準備の特定活動を利用しながら転職先を探すことはできない点に注意が必要です。


介護事業所側も、技能実習生の受け入れ段階から特定技能への移行を見据えた雇用契約を結んでおくと、後々のトラブルを避けやすくなります。


審査期間の長期化

出入国在留管理局における在留資格変更許可申請の審査は、申請件数の増加などを背景に、以前より時間がかかる傾向が続いています。


この審査期間の長期化こそが、移行準備としての特定活動が活用される主な理由のひとつです。技能実習の在留期限ぎりぎりで切り替えを進めるのではなく、余裕を持ったスケジュールで申請を進め、必要であれば早い段階から移行準備の特定活動の利用も視野に入れておきたいところです。


介護事業所が外国人材を採用する際に知っておきたいポイント

特定技能や特定活動の制度を理解したうえで、介護事業所が実際に外国人材を受け入れる際には、在留資格の手続き以外にも押さえておきたい実務上のポイントがあります。


協議会への加入や訪問系サービスの要件など、介護分野ならではのルールを見落とすと、後から是正を求められる可能性があるため、順番に確認していきましょう。


介護分野特定技能協議会への加入義務

介護分野で特定技能外国人を受け入れる事業所は、介護分野特定技能協議会の構成員となることが義務付けられています。


2024年6月15日以降は、在留資格の申請を行う前に協議会へ入会し、入会証明書の交付を受けておく必要がある運用に見直されました(出典:国際厚生事業団(JICWELS))。入会証明書の発行には概ね2週間程度かかるため、受け入れが決まった時点で早めに手続きを進めておくと安心です。


訪問系サービスに従事させる場合の上乗せ要件

特定技能外国人が訪問介護などの訪問系サービスに従事することは、2025年4月から解禁されました(出典:厚生労働省)。ただし、本人・事業所双方に次のような上乗せ要件が設けられています。


本人要件

  • 介護職員初任者研修(訪問系サービスを含む介護の基礎を学ぶ入門的な研修)の修了

  • 対象施設での1年以上の実務経験

  • 日本語能力試験N4以上の合格(実務経験1年未満の場合はN2相当の日本語能力か6か月間の同行訪問が必要)


事業所側の主な体制整備

  • 訪問系サービス特有の研修実施

  • サービス提供責任者による同行訪問(OJT)

  • キャリアアップ計画の作成

  • ハラスメント対策(マニュアル作成・相談窓口の設置)

  • 緊急時対応のためのICT環境整備


これらに加えて利用者・家族への書面での説明と同意取得も必要になるため、訪問介護での受け入れを検討している事業所は早めに体制を整えておく必要があります。


介護福祉士取得までのキャリアパス設計

特定技能1号だけでは在留期間が通算5年で区切られるため、外国人材に長く活躍してもらうには、介護福祉士の国家資格取得を見据えたキャリアパスを事業所側で設計しておくことが欠かせません。


介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」に変更でき、期間の上限なく更新しながら家族帯同も可能になるため、大きなメリットになります。国家試験には、3年以上の実務経験に加えて実務者研修の修了が受験資格として求められるルートがあります(出典:社会福祉振興・試験センター)。


まとめ:特定活動と特定技能の違いを理解し、正しい移行準備を進める

特定技能と特定活動は、名前こそ似ているものの、目的・在留期間・家族帯同の扱いが大きく異なる別々の在留資格です。介護事業所が押さえておきたいポイントを整理すると、次の通りです。

  • 特定技能は人手不足分野での就労、特定活動(移行準備)は特定技能への切り替えが完了するまでの「つなぎ」

  • 移行準備としての特定活動は原則6か月・更新1回限りのため、早めの申請が欠かせない

  • 受け入れ後は介護分野特定技能協議会への加入や訪問系サービスの上乗せ要件にも対応が必要

  • 家族帯同や長期就労を見据えるなら、介護福祉士取得までのキャリアパス設計がカギになる

制度を正しく理解し、介護福祉士取得までのキャリアパスを見据えて外国人材の育成に取り組むことが、長期的な人材定着への近道になります。


Sakulaでは、外国人介護士に特化した実務者研修を通じて、介護福祉士取得というゴールまでの学習・実務経験の積み方をサポートしています。

日本語教師・社会福祉士・介護福祉士の資格を持つ講師による指導や24時間の母国語サポートも整っており、「特定技能から先のキャリアをどう描けばいいかわからない」という事業所の悩みに寄り添える体制です。

外国人材の受け入れから定着まで見据えた育成を検討している場合は、外国人向け実務者研修の詳細もあわせてご覧ください。

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