外国人介護人材の受け入れ制度は?概要や仕組みについてわかりやすく解説
- 干泥 信隆

- 5月29日
- 読了時間: 10分
「外国人介護人材の雇用を検討している」
「受け入れ制度や手続きについて知りたい」
「外国人スタッフとのコミュニケーションに悩んでいる」
そんな疑問をお持ちの介護事業所は少なくないのではないでしょうか。
介護業界の人手不足を解消することを目的に、外国人介護人材の雇用に注目が集まっています。
この記事では、外国人介護人材を受け入れるための4つの制度や雇用のメリット・課題、日本語能力への支援体制について幅広く解説します。
外国人スタッフについてお悩みがある介護事業所様は、ぜひ最後までご覧ください。
外国人介護人材の受け入れが可能な4つの制度

日本で外国人が介護職に就くための制度は、大きく4つに分かれています。
それぞれ対象国・在留期間・取得要件が異なるため、事業所の状況に合った制度を選ぶことが採用成功のポイントになります。それぞれ解説します。
EPA介護福祉士
EPA(経済連携協定)とは、日本が相手国と結ぶ二国間協定のことです。
介護分野ではEPA協定を締結したインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国を対象に、外国人が日本の国家資格「介護福祉士」の取得を目指すことを前提とした受け入れ制度です。
各国で介護・看護に関する基礎知識を持つ人材が、日本語研修を受けたうえで来日します。入国後は施設で就労しながらさらに日本語研修を受け、入国4年目に介護福祉士の国家試験を受験する仕組みです。
試験に合格すれば在留を継続して永続的に就労できますが、不合格の場合は帰国しなければなりません。
なお、不合格の場合でも、一定の点数を得点した場合は、再受験することが可能です。
受け入れ希望施設は、国際厚生事業団(JICWELS)を通じたマッチングが必要で、申請から就労開始まで1年数ヶ月かかるのが一般的です。
2023年度までにEPA候補者は7,675名が来日しています。
参考:
在留資格(介護)
在留資格「介護」は、日本の介護福祉士国家試験に合格した外国人に付与される在留資格です。
在留資格名は2種類あり、上記の資格を取得する前は「留学」、取得後は「介護」になります。
日本語能力・専門知識・実務スキルのいずれも一定水準以上が求められるため、4つの制度のなかで最もスキルが高い人材区分といえます。
取得要件は、介護福祉士養成施設の修了(2027年度以降は修了に加えて国家試験合格が必要)、または介護福祉士国家試験の合格です。即戦力として現場に配置できるうえ、在留期間に上限がなく永続的に就労が可能な点がほかの制度にはない大きな特徴です。
在留資格「介護」の在留者数は、令和6年(2024 年)12月末時点で 8,093名となります。
介護福祉士養成施設を卒業する外国人留学生の増加に伴い、今後の拡大が期待されています。
技能実習生
技能実習制度は、発展途上国への国際貢献(技術移転)を目的として、外国人に日本の技術・技能を習得させるOJT型の制度です。介護分野は2017年11月に対象職種に加わりました。
技能実習生は入国後、まず日本語と介護の基礎に関する1〜2ヶ月の講習を受けてから施設に配属されます。
1年目と3年目に修了試験があり、通常3年までの契約期間となっています。
さらに、監理団体・実習先がともに優良認定を受けた場合は最長5年まで実習を継続できます。
入国5年目までに介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して日本で永続的に働くことも可能です。
受け入れ要件として日本語能力の制限はないが、N4以上が望ましいです。
また、技能実習生は原則として転職できないため、施設側がしっかりと育成環境を整えることが重要です。採用には監理団体を通すのが一般的なため、地域の監理団体に相談することが第一歩となります。
特定技能1号
特定技能1号は、介護業界の深刻な人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格です。
介護を含む16の産業分野が対象で、即戦力となる外国人を労働者として受け入れることを目的としています。
介護分野で特定技能1号を取得するには、以下の試験に合格する必要があります。
介護技能評価試験
介護日本語評価試験
日本語能力試験N4以上(N3が望ましい水準)
技能実習2号を良好に修了した人材はこれらの試験が免除されるため、技能実習から特定技能への移行ルートが多く活用されています。
在留期間は通算5年が上限で、家族の帯同は原則認められていません。
4制度のなかでは受け入れ人数が多く、2025年12月末時点では67,871人が在留しています。
2025年4月からは訪問介護分野への従事も解禁されており、受け入れの幅がさらに広がっています。
【早見表】制度ごとの在留期間について
4つの制度の主な要件を整理すると、以下のとおりです。
制度 | 対象国 | 在留期間 | 主な日本語要件 |
EPA | ・インドネシア ・フィリピン ・ベトナム | ・介護福祉士国家試験の取得前は4年 ・取得後は制限無しで更新可能 | 国によりN4〜N3以上 |
在留資格「介護」 | 制限なし | ・更新制限なし (将来的に永住権取得可能) | N2以上が望ましい |
技能実習生 | 制限なし | ・技能実習1号は最長1年 ・技能実習2号は最長2年 ・技能実習3号は最長2年 ※通常3年、優良認定で最長5年まで可 | 要件無し(N4以上が望ましい) |
特定技能1号 | 制限なし | 通算5年 | N4以上(N3推奨) |
在留期間だけでなく、施設への配置基準に組み込めるタイミングや夜勤対応の可否なども制度ごとに異なります。
採用目的と施設の状況に合わせて複数の制度を比較・検討することが大切です。
外国人介護士を雇用するメリットと課題

外国人介護士の受け入れは、人手不足を解消できるメリットがある一方、事前に把握しておくべき課題も存在します。メリットと課題の両方を把握することがポイントです。
メリット | 課題 |
・若手人材を確保しやすい ・人手不足の問題を緩和できる | ・日本語でのコミュニケーション ・受け入れのコスト |
特定技能「介護」で就労している外国人労働者は2024年6月末時点で36,719人です。
2024年12月末にはさらに増加し、44,000人以上の外国人材が介護業界で就労しており、その数は右肩上がりに増加しています。
2025年4月から訪問介護分野が解禁されるなど、介護領域での人手不足をさらに補う効果が期待されています。
一方で、コミュニケーションにおいては、日常会話のレベルでは問題がなくても、介護の専門性が求められる場面になると、コミュニケーションの難しさが表面化するケースが少なくありません。
対策方法としては、ふりがな付きマニュアルの整備や介護専門用語に特化した勉強会の定期開催など、可能な範囲で日本語教育を業務の一環として組み込むことで、現場への定着を進めることができます。
外国人介護人材の日本語能力を向上させる取り組み

外国人介護士が現場でスムーズに活躍するためには、介護技術とともに日本語能力の向上が欠かせません。
施設・行政・教育機関それぞれの立場でさまざまな支援が行われています。
例えば行政面では、厚生労働省の補助事業として公益社団法人日本介護福祉士会が「にほんごをまなぼう」という無料ウェブ学習コンテンツを提供しています。
日本語能力試験N3程度の取得や特定技能評価試験の対策を目的とした内容で、外国人介護士であれば誰でも活用できます。
重要なのは、介護現場特有のコミュニケーション力が身に付くように支援することです。
座学以外にもOJTを通じた実践的な指導と組み合わせることは有効です。
外国人介護士が安心して働き続けられるよう、日本語教育は継続的に行う視点が大切です。
Sakulaでは外国人介護人材の実務者研修養成施設を提供

Sakulaでは、外国人に特化した実務者研修養成施設を提供しています。
介護福祉士へのキャリアアップを支援するには、質の高い実務者研修の提供が不可欠です。
外国人介護人材のキャリアやコミュニケーションにお悩みがあれば、まずはSakulaまでご相談ください。
Sakulaを卒業した外国人生徒の声

インドネシア人男性・20代
Sakulaの実務者研修は、授業がとてもわかりやすくて、自分で復習しながら勉強したい私に合っていました。
先生は聞きやすい日本語で説明してくれるので、難しい内容も理解しやすかったです。
外国人のためのクラスなので、あまり緊張しないで安心して受けることができました。
外国人の支援をたくさんしている会社なので、その学校なら安心できると思いました。
授業で学んだことが介護福祉士の勉強にもつながって、一回で合格できたと思います。
外国人介護人材の受け入れ状況と今後の動向

外国人介護人材の受け入れは年々拡大しており、今後もその傾向が続くと見込まれています。そもそもなぜ介護業界でここまで人材不足が深刻化しているのか、外国人介護士が増えることで何が変わるのかを整理します。
そもそも介護業界で人材が不足する理由
介護業界の人材不足には、需要と供給の両側からの要因があります。
需要側では、高齢化の進展が最大の要因です。1947〜1949年生まれの団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」により、介護保険サービスの需要が急増しました。
厚生労働省の推計では、2025年度の介護人材不足は約37万人に達すると見込まれており、特に人口が集中する都市部では不足がより顕著になるとされています。
供給側では、賃金など処遇面での改善が長年の課題となっています。
介護職員処遇改善加算などの政策が進められてきましたが、仕事内容に見合った水準には至っておらず、新規参入者の確保や定着につながりにくい状況が続いています。
外国人介護士が増えるとどうなる?
外国人介護士が増えることで最も期待されるのは、深刻な人手不足の緩和です。
特定技能の受け入れ上限は事業所ごとに日本人常勤職員数と同数と定められているものの、慢性的な不足状態を補う大きな力となっています。
例えば、実際に特定技能「介護」の在留者数を見てみると、2025年6月末時点で54,916人と前期比で23.6%増加しています。
介護人材の不足を補える一方で、さきほど述べた通り、受け入れ体制の整備が追いついていない施設では、日本語サポートや生活支援の負担が増すリスクも伴います。
これからは外国人スタッフの人数を増やすだけでなく、定着を支える環境づくりがより一層重要になっていきます。
在留資格「留学」「介護」について
外国人が日本の介護現場を目指す経路として、冒頭で述べた在留資格「留学」を活用するルートが注目されています。
在留資格「留学」で来日した外国人が介護福祉士養成施設(2年制の専門学校等)に通い、卒業・国家試験合格を経て在留資格「介護」へ変更するのが一般的な流れです。
養成施設の在学中は週28時間以内のアルバイトが可能であるため、学びながら実際の介護現場を経験する留学生も少なくありません。
在留資格「介護」は取得要件こそ高いものの、取得後は在留期間の上限なく日本で働き続けられる唯一の制度です。
事業所としても、留学生を早い段階からアルバイトとして受け入れ、卒業後の正規雇用へつなげる採用戦略が有効な選択肢になっています。
まとめ:外国人介護人材の現状や受け入れの制度を解説

外国人介護人材を受け入れるための制度は、以下の4つがあります。
EPA
在留資格「介護」
技能実習
特定技能1号
それぞれ対象国・在留期間・取得要件が大きく異なるため、事業所の状況やどんな人材を必要としているかによって、最適な制度の選択肢は変わります。
受け入れのメリットは若手人材の確保や職場の活性化など多岐にわたる一方で、日本語コミュニケーションのサポートは避けられない課題です。
採用後も長く活躍してもらうためには、育成環境を整備することが欠かせません。
制度の理解を深め、自施設に合った受け入れ体制をしっかり準備することが、安定した施設運営への第一歩となります。
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