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外国人介護士に日本語を教えるのは難しい?教え方のポイントや学習教材を解説

  • 執筆者の写真: 干泥 信隆
    干泥 信隆
  • 3 分前
  • 読了時間: 12分

外国人介護士と一緒に働く中で、「日本語がうまく伝わらない」と悩んだ経験はないでしょうか。


例えば、現場では以下のような課題が想定されます。

  • 業務の指示が伝わらない

  • 利用者への言葉遣いが難しい

  • 介護記録の読み書きが難しい

この記事では、外国人介護士に日本語を教えるコツや日本語・介護の学習教材などを解説します。


外国人スタッフの指導を担当している方や、外国人介護士のスキルアップをご検討中の介護事業者様はぜひご覧ください。


介護現場における外国人介護士の教育状況

介護現場では外国人スタッフの受け入れが広がっています。

しかし、いざ一緒に働いてみると「日本語でのコミュニケーションが思うようにいかない」と感じることもあるでしょう。はじめに外国人介護士の教育状況について解説します。


日本語能力の向上が課題

外国人介護士を受け入れる施設が増える一方で、日本語教育をどう進めるかに悩む現場は少なくありません。


業務をスムーズに回すためには、指示を正確に伝えるだけでなく、利用者への言葉遣いや書類の読み書きまで幅広い日本語力が求められます。


しかし、現場では日本語指導のトレーニングを受けていない介護士が外国人介護士教育を担うケースがほとんどです。


「どこから教えればいいのかわからない」という声が上がるのも、無理のないことです。


外国人介護士の日本語レベルは?

外国人介護士といっても、日本語レベルはさまざまです。

一般的には日本語能力試験のN3相当の外国人介護士が多く、日常会話は問題なくできる場合が多いです。


ただ、専門的な介護用語や複雑な敬語表現になると急に理解が難しくなるケースがあります。


介護現場で必要な日本語のレベル

介護現場では、大きく分けて以下3つの場面で日本語が求められます。

  • 利用者との会話

  • スタッフ間の報連相

  • 介護記録に必要な文章力

目安としては、日常会話レベルのN3からN4では現場での運用に限界があり、N2以上の取得が求められることが多いです。


日常会話以外にも、実務的に「介護の現場で使われる言葉を知っているか」も重視されます。


今後はさらに外国人人材の増加が見込まれる

少子高齢化により介護人材の不足は年々深刻化しており、外国人介護士への依存度は今後さらに高まっていくとみられています。


政府も特定技能制度や技能実習制度を通じて外国人労働者の受け入れ拡大を推進しており、現場での日本語教育の重要性はますます増しています。


外国人スタッフの教育体制や仕組み作りを今のうちに整えておくことが、将来的な施設全体の安定運営につながります。


外国人介護士に日本語を教えるコツ

外国人介護士に日本語を教えるときは、シンプルに「どうすれば伝わりやすいか」を意識することがコツです。

現場で実践しやすい指導のポイントを紹介します。


介護用の教材を活用する

一般的な日本語教材ではなく、介護の現場に特化した教材を使うことが大切です。


日常会話と介護の言葉は重なる部分も多いですが、例えば清拭(せいしき)、褥瘡(じょくそう)など、介護特有の専門用語は一般の教材ではほとんど扱われません。


介護向けの教材を使うことで、現場で必要な言葉を効率よく学ぶことが可能になります。

日本語学習や実務者研修におすすめの学習教材については後ほど紹介します。


実際の現場に近い環境で指導する

テキストだけで学ぶよりも、実際の業務環境に近い状況で言葉を覚える方が定着しやすいです。


例えば、入浴介助の手順を説明しながら「次に〇〇してください」と実際に動作と言葉をセットで教えると、言葉の意味が体感として理解されやすくなります。


特に外国人介護士が対象の場合、「知っている」と「使える」の間には大きな差があるため、できるだけ現場に即した形で練習する機会を作ることが重要です。


イラストを活用する

言葉だけで説明が続くと、どうしても教科書的な雰囲気になり、学習者が付いていけなくなる可能性があります。


イラストや図を積極的に取り入れることで、外国人介護士の理解も深まるでしょう。

例えば、身体の部位や介護手順など、視覚的に示した方が伝わりやすい内容は少なくありません。


特に日本語レベルがまだ低い段階では、文字よりも絵の方が理解の助けになることが多いです。市販の介護教材にはイラスト付きのものも多いため、対象者に合わせて上手く活用することがポイントです。


発音は丁寧に行う

日本語に慣れていない外国人にとって、早口や省略した話し方は聞き取りが困難です。

これは私たち日本人が、ネイティブスピーカーの早口の英語を聞き取りにくいのと似ています。


日本語で指導する際は「ゆっくり」「はっきり」と話すことを意識し、難しい言葉はカタカナ読みや言い換えを活用するのも有効です。


また、一度に大量の情報を伝えるのではなく、短い文で区切りながら話すと、相手が理解を確認しながら聞けるため、コミュニケーションのズレを防げます。


相手の表情や反応を見ながら、伝わっていなければ言い方を変えるなど、臨機応変に対応することが大切です。


簡単な単語から教える

最初から長い文章や複雑な表現を教えようとすると、学習者の負担が大きくなります。

まずは現場でよく使う単語や短いフレーズから始め、少しずつ文章として組み立てられるよう段階的に進めることが大切です。


「立ってください」「ゆっくり」「大丈夫ですか?」など、毎日の業務で必ず使う言葉を優先して覚えてもらうと、現場での自信にもつながります。


学習者が理解しやすいように、コミュニケーションの難易度を下げてあげることも教育者に求められています。


日本語を教えることは難易度が高いケースがある

日本語を教えることが思ったより難しいと感じる理由として、そもそも日本語が持つ特性が原因であることもあります。

どのような点で難しさが生じるのかを知っておくと、今後スムーズに指導できる可能性があります。


外国には日本語のような細かい丁寧語が少ない

日本語には「です・ます調」「〜でございます」など、場面や相手によって使い分ける丁寧語・敬語の体系が発達しています。


しかし、多くの外国語ではこれほど細かい敬語の区別がありません。

例えば、英語では相手が上司でも利用者でも基本的には同じ言葉遣いで話せますが、日本語ではそうはいきません。


介護現場では利用者への言葉遣いが特に重視されるため、この点の習得には時間がかかることを前提に指導することが大切です。


日本人は目的語を省略することに慣れている

日本語の会話では「(それを)持ってきて」「(利用者さんを)移動させて」のように、目的語を省略して話すケースが多くあります。


日本人同士であれば文脈から自然に補えますが、日本語学習者にとっては「何を?誰を?」と混乱の原因になってしまいます。


日本語に慣れていない介護士と話す際は、意識的に主語や目的語を省略せず、丁寧に伝える習慣をつけることが、誤解を防ぐうえで有効です。


母語によって日本語の文法が複雑に感じる

日本語の語順(主語→目的語→動詞)は、英語などの言語(主語→動詞→目的語)とは異なります。


そのため、英語圏出身の介護士にとっては文の組み立て方から学び直す必要があり、習得に時間がかかることがあります。


一方で、アジア系言語は語順が日本語に近いため、比較的スムーズに習得できるケースもあります。担当する外国人介護士の母語を把握しておくと、どこでつまずきやすいかが予測しやすくなります。


外国人介護士におすすめの学習教材

外国人介護士の日本語学習を支援するために、国が無料で提供している教材があります。

現場での指導と並行して、自習にも活用することができます。


厚生労働省の学習用テキスト

厚生労働省は、介護分野で働く外国人向けにさまざまな学習用テキストを無料で公開しています。

日本語を学ぶためのテキストから介護の専門用語集、介護福祉士国家試験の対策問題集まで、目的に応じた教材が揃っています。実際の教材をピックアップして紹介します。



介護もまなべる「にほんごをまなぼう」

「にほんごをまなぼう」は、厚生労働省の補助事業として公益社団法人日本介護福祉士会が運営する無料のWebサイトです。


日本語能力試験N3レベルの習得や特定技能評価試験の対策を目的としており、介護現場で必要な日本語力と基礎的な介護技能を同時に学べる構成になっています。

利用登録(無料)をすれば誰でも使えるため、外国人スタッフに自習ツールとして紹介するのにも適しています。



介護の特定技能評価試験学習テキスト

介護分野の特定技能評価試験の合格を目指す外国人向けに作成された学習テキストです。

試験対策としてだけでなく、特定技能在留資格で介護現場に入った外国人スタッフが、現場で実際に使える知識を身につけるための内容になっています。


令和8年度からの新試験に対応した改訂版も公開されているため、最新版を使うようにしましょう。厚生労働省のページからダウンロードできます。



外国人のための介護福祉専門用語集

介護福祉専門用語集は、介護・福祉・医療分野の専門用語を約1,200語収録した用語集です。

先ほども述べた通り、介護現場では「褥瘡(じょくそう)」「清拭(せいしき)」など、日常会話では出てこない専門的な言葉が多く登場します。


この用語集は英語・ベトナム語・中国語など14言語に対応しており、外国人スタッフが自分の母語で意味を確認しながら学べる点が大きな特徴です。テキストでの学習と並行して、辞書代わりに活用するのがおすすめです。



Sakulaで実際に活用している教材

介護福祉士実務者研修テキスト

Sakulaでは、中央法規出版が発行する「介護福祉士実務者研修テキスト」を活用しています。

この書籍は、実務者研修の対応テキストとして「人間の尊厳と自立」「社会のしくみの理解」が解説されていて、基礎から学習することが可能です。

最新の制度改正を反映した第5版でふりがな付きのため、外国人介護士にも読みやすい教材となっています。


見て覚える!介護福祉士国試ナビ2027

Sakulaでは、介護福祉士の資格サポートにこちらの教材を活用しています。

「見て覚える!介護福祉士国試ナビ」は、国家試験の全科目を4領域63単元に整理し、オールカラーの図表やイラストを多用した受験対策書です。


単元ごとに重要度がA〜Cでランク表示されるため、外国人介護士でも効率よく学習を進められるメリットがあります。


外国人介護士の日本語レベルを上げないと起こるリスク

外国人介護士の日本語教育は現場の安全を守るために欠かせない取り組みです。

日本語レベルが不十分なまま業務を続けると、コミュニケーションや現場の連携など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。


利用者の安全性が下がってしまう

介護の現場では、利用者の体調変化や転倒リスクなど、瞬時に状況を判断して対応しなければならない場面が多くあります。


緊急な対応が求められる場面で利用者からのサインを聞き取れなかったり、スタッフ間の指示が正確に伝わらなかったりすると、重大な事故につながりかねません。


日本語力の不足は、単なるコミュニケーションの問題ではなく、利用者の怪我や場合によっては命に関わるリスクとして捉える必要があります。


現場で必要な報連相ができない

介護現場では「報告・連絡・相談(報連相)」が業務の基本です。

例えば、利用者の食事量が減っていることや、夜間に体調の変化があったことを次のシフトのスタッフに正確に伝えられなければ、適切なケアが続けられません。


日本語でのやり取りが不十分だと、申し送りの内容が曖昧になったり、重要な情報が抜け落ちたりするリスクが高まります。報連相の質は、チーム全体のケアの質に直結します。


介護記録の読み書きができない

介護記録は、利用者の状態を継続的に把握するための重要な書類です。

記録が正確に書けなければ、他のスタッフが状況を把握できず、ケアの連続性が失われます。


また、読み取りができなければ、前のシフトで何があったかを理解しないまま業務に入ることになります。

介護記録には専門用語も多く含まれるため、日常会話レベルの日本語力だけでは対応が難しく、現場での読み書き能力を高める取り組みが不可欠です。


【外国人専門】Sakulaの実務者研修養成施設とは

株式会社Sakulaでは、外国人介護士向けの実務者研修を提供しています。

外国人介護士に特化しているため、研修を通して日本語力や介護の専門知識を体系的に高めることが可能です。


カリキュラムは外国人が理解しやすい言葉・指導方法に合わせて設計されており、日本語教師・社会福祉士・介護福祉士の資格を持つ講師が指導を担当します。

希望者には介護福祉士の国家試験対策サポートも行っているため、目的を意識して最後まで勉強を継続しやすい環境を提供させていただきます。



まとめ:外国人の日本語能力を上げるには教え方の工夫が必要

外国人介護士に日本語を教えることは、敬語の複雑さや目的語の省略など、日本語特有の難しさがあるため、決して簡単ではありません。

指導する側も専門的なトレーニングを必ず受けていないため、教え方の工夫や適切な教材の活用が重要になります。


介護用の教材を使い、以下の要素を取り入れてみてください。

  • 実際の現場に近い環境で指導を行う

  • イラストを取り入れて視覚的に伝える

  • ゆっくり丁寧に話すことを意識する

こうした工夫を積み重ねることで、外国人介護士の日本語力や知識力を向上させることが可能です。


Sakulaでは外国人向けの実務者研修を提供しています。外国人介護士のスキルアップをご検討中の介護事業者様は、お気軽にご相談ください。

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