フィリピン人介護士を採用するには?特徴・制度・受け入れのポイントを解説

フィリピン人介護士の特徴を知りたい
自施設で採用するために必要な制度や手続きが分からない
採用のメリットデメリットや費用を把握したい
こうしたお悩みはありませんか?
フィリピン人介護士の採用では、本人の経験や自施設に合う受け入れ制度を確認することが大切です。
例えば、特定技能とEPAでは窓口や手続きが異なり、国内採用にも確認が必要です。
本記事では、フィリピン人介護士について、人材の特徴や制度別の採用手続き、採用するメリットなどを解説します。
フィリピン人介護士の受け入れを検討している担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
フィリピン人介護士の特徴
フィリピン人介護士を理解するうえで、看護・介護教育や、多言語・多宗教の社会背景が参考になります。
ただし、教育歴や言語力、生活習慣には個人差があるため、国籍だけで一括りにしないことが大切です。
介護教育と海外就労の背景
フィリピンには、看護や介護を学び、海外で働く道を選ぶ人材がいます。
日本への受け入れにも、母国での教育を踏まえて介護福祉士を目指す仕組みがあります。
例えば、EPAで来日するフィリピン人介護福祉士候補者には、看護学校の学士課程修了、または4年制大学卒業とフィリピン政府による介護士認定という学歴・資格要件があります。
こうした教育背景は、介護を学ぶ土台の一つになります。
一方、特定技能や日本在住者の採用では経歴が異なり、すべてのフィリピン人介護士が看護・介護の専門教育や実務経験を持つわけではありません。
フィリピノ語・英語を使う言語環境
フィリピンでは、フィリピノ語と英語が公用語として使われています。
地域ごとに異なる言語もあり、家庭・学校・仕事で複数の言語に接する人もいます。
そのため、母語をフィリピノ語と決めつけたり、全員が同じ程度に英語を使えると考えたりしないことが大切です。
英語での会話が得意でも、日本語の会話や漢字の読み書きには別の学習が必要です。
介護では、利用者への声かけ、職員間の申し送り、記録など、場面によって求められる日本語も変わります。
言語環境の特徴と、本人が実際に使える言葉・得意な場面を分けて捉えましょう。
宗教・生活習慣
フィリピンはカトリックをはじめとするキリスト教徒が多数を占める一方、イスラム教などを信仰する人も暮らしています。
宗教や生活上の希望は、同じ国の出身者でも一様ではありません。
信仰に関わる食事や礼拝、行事の過ごし方も、本人の考え方や家庭環境によって異なります。
「フィリピン人ならこの食べ物は大丈夫」「この日は全員が休みたいはず」と推測すると、実際の希望とのずれが生じます。
国の背景を理解することは相互理解の入り口ですが、生活や勤務に関わる配慮は、本人が必要とする内容を確認して考えることが大切です。
日本での就労を希望する背景
日本で働きたい理由には、収入、介護の学習、資格取得、将来の暮らしなど、さまざまなものが考えられます。
給与だけで、すべての人の就労動機を説明できるわけではありません。
愛知県の公式サイトに掲載された2017年のフィリピン出身の介護福祉士へのインタビューでは、家族の介護を見て介護の勉強を志したことや、日本で働いた知人の話から日本に親しみを持ったことが語られています。
これは一人の経験ですが、日本との関わりや学びたいことが来日のきっかけになる例です。
採用時には、本人が日本で実現したいことと、施設で提供できる仕事やキャリアが合うかを確かめましょう。
フィリピン人介護士の受け入れ制度と採用手続き
フィリピン人介護士の受け入れでは、採用する人の資格・在留状況と、施設側の受け入れ要件を照合して制度を選びます。
主な制度の違いを押さえたうえで、担当窓口と必要な手続きを確認しましょう。
制度 | 主な対象・目的 | 採用準備の相談先 |
特定技能「介護」 | 一定の技能・日本語能力を持つ人材の受け入れ | 認定送出機関、管轄MWO、地方出入国在留管理局等 |
EPA介護福祉士候補者 | 就労・研修を通じた介護福祉士の資格取得 | 国際厚生事業団(JICWELS) |
在留資格「介護」 | 日本の介護福祉士資格を持つ人材の就労 | 地方出入国在留管理局等 |
技能実習 | 技能の修得と母国への技能移転 | 監理団体、外国人技能実習機構等 |
制度全体の概要は、以下の記事でも解説しています。
特定技能「介護」
特定技能「介護」では、原則として介護の技能、介護の日本語、一般的な日本語能力を試験で確認します。
技能実習等の経歴により免除される試験が異なるため、候補者の修了証明や試験結果を確認しましょう。
採用準備では、日本側の在留手続きに加え、雇用契約を結ぶ前のフィリピン側の手続きが必要です。
海外から新たに受け入れる場合は、次の流れを基本に準備します。
施設の対象業務・受け入れ要件、協議会への加入、支援計画と担当者を確認する
フィリピン政府認定の送出機関と募集取決めを結ぶ
管轄のMWO(移住労働者事務所)へ申請し、DMW(移住労働者省)への所属機関登録を進める
必要な事前手続きを経て候補者の選考・雇用契約を行う
在留資格認定証明書の交付申請、査証申請、フィリピン側の出国手続きを経て入国・入職する
既存の登録状況によって必要書類は異なるため、法人・施設の所在地に対応するMWOで確認してください。
募集条件や契約書、会社資料などの準備を誰が担うかも、送出機関や支援を依頼する事業者と決めておきましょう。
また、試験の内容や免除条件は以下の記事でも解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
EPA介護福祉士候補者
EPA(経済連携協定)は、国家資格の取得を目指して施設で就労・研修する仕組みです。
候補者の受け入れ調整は、国内唯一の調整機関であるJICWELSを通じて行います。
施設側は、募集年度の受け入れ要件と日程を確認し、求人申請、面接・マッチング、候補者の日本語研修、施設での就労開始へと進みます。
求人申請前に、研修責任者や学習支援の体制、勤務条件、住居を準備できるか確認しましょう。
なお、2027年度受け入れの求人登録申請は、2026年4月8日に終了しています。
今から採用を検討する場合は、JICWELSに次回の募集予定を確認し、必要な準備を進めてください。
在留資格「介護」
在留資格「介護」は、日本の介護福祉士資格を持ち、介護や介護の指導に従事する人を対象とする資格です。
養成施設を卒業した人に加え、実務経験を経て資格を取得した人も対象になります。
採用では、介護福祉士の資格・登録状況と、就労に必要な在留手続きを分けて確認しましょう。
まず登録証や在留カードを確認し、業務内容・雇用条件を整理します。
そのうえで、海外から呼び寄せるのか、国内で別の在留資格から変更するのか、すでに「介護」で在留しているのかに応じ、認定・変更・更新等の手続きの要否を地方出入国在留管理局へ確認します。
実務者研修の修了だけで取得できる在留資格ではありません。
技能実習と育成就労への移行
技能実習は、日本で修得した技能を母国に移転することを目的とする制度です。
監理団体を通じて受け入れる場合は、送出機関との調整に加え、指導体制の整備、技能実習計画の認定、在留手続き、入国後の講習などが必要になります。
一方、2027年4月1日には、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度の施行が予定されています。
今後の受け入れを検討する施設は、入職予定時期と計画認定の状況に応じて、技能実習の経過措置と新制度のどちらが適用されるか確認しましょう。
技能実習の手続きがそのまま使えると考えず、厚生労働省や外国人技能実習機構の最新案内を参照してください。
日本在住のフィリピン人を採用する場合
国内採用では、在留カードの在留資格・期限・就労制限を最初に確認します。
採用時に必要な手続きは、現在の在留資格によって異なります。
特定技能への変更・転職:日本側の申請と、MWO・DMW等の事前手続きを確認する
在留資格「介護」:介護福祉士の登録と在留状況、勤務先変更に伴う手続きを確認する
永住者・定住者等:在留資格による職種制限がないことを確認し、通常の採用手続きを進める
「留学」「家族滞在」の資格外活動許可は、常勤の介護職として無条件に働ける許可ではありません。
特定技能では、日本在住者にもフィリピン側の事前手続きが必要と案内されています。
一時帰国後の再渡航も含めて管轄MWOへ確認し、国内採用だからすぐ働けると判断しないようにしましょう。
フィリピン人介護士を採用するメリット
候補者の教育歴や言語力を施設の仕事に活かせれば、人材確保に加えて、職場の対応力を広げることが期待できます。
フィリピン人介護士を採用するメリットを詳しく解説します。
介護教育や実務経験を現場に生かせる
看護・介護を学んだ人や介護の実務経験を持つ人を採用できれば、これまでに得た知識や経験を、日々のケアに生かせる可能性があります。
例えば、食事・移乗などの介助経験があれば、どの場面に対応してきたかを具体的に確認し、担当業務を考える材料にできます。
経験の有無だけでなく、対象者の状態や担当した介助の内容まで確かめると、自施設で生かせる強みが見えやすくなります。
ただし、母国での経験と日本の施設の手順は同じとは限りません。
経験者にも施設のケア方針や安全確認の方法を共有し、実際の対応を確認したうえで業務を任せましょう。
英語力をコミュニケーションに生かせる
本人と説明する職員の双方が英語を使える場合、日本語だけでは伝わりにくい内容を補いながら説明できることが利点になります。
例えば、入職時の仕事の説明や生活上の相談で、日本語の意味を英語でも確認する方法が考えられます。
英語を使う同僚がいる職場では、職員同士の意思疎通を助ける場面もあるでしょう。
ただし、英語力には個人差があり、英語が通じる環境も施設によって異なります。
利用者への声かけや記録など、現場で必要な日本語は別に確認し、英語を補助として使える場面を考えることが大切です。
介護福祉士取得を通じた長期雇用を目指せる
本人が日本で働き続けたいと希望している場合、介護福祉士資格の取得と在留手続きを見据え、長期的な雇用を考えられます。
特定技能等で働く人には、介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」への変更を目指す選択肢があります。
EPAでも、資格取得後は在留期間を更新しながら働く仕組みがあります。
これはフィリピン人だけの優遇ではなく、本人の資格や制度上の条件が前提です。
資格取得によって同じ施設での継続勤務が保証されるわけではありませんが、仕事と学習の見通しを共有することは、将来のキャリアを話し合うきっかけになります。
フィリピン人介護士の採用費用と期間
採用費用と入職までの期間は、利用する制度、本人の在留状況、依頼する業務によって変わります。
初期費用と入職後の費用を分け、必要な手続きごとに予算と日程を確認しましょう。
採用・渡航にかかる初期費用
海外から採用する場合は、紹介にかかる料金だけでなく、書類や渡航・住居の準備費用も確認します。
見積もりでは、含まれる費目と施設・本人それぞれの負担をそろえて比較することが大切です。
人材紹介・送出機関に関する費用
書類の翻訳・公証・手続き代行の費用
渡航や住居の初期費用、生活用品の準備費用
特定技能、EPA、国内採用では必要な費目が異なるため、一律の総額で比較すると判断を誤ることがあります。
公的手数料と民間事業者の代行料も区別しましょう。
例えば、MWO Tokyoは書類確認の手数料を徴収しないと案内していますが、翻訳や民間の代行サービスまで無料になるという意味ではありません。
雇用・教育・支援にかかる継続費用
入職後は、給与や社会保険の事業主負担に加え、教育・支援に必要な予算を見込んでおきましょう。
確認する主な費目には、次のものがあります。
給与、手当、社会保険等の事業主負担
日本語学習、研修、資格取得にかかる費用
登録支援機関へ委託する場合の支援委託料
施設が負担する住居費や生活支援にかかる費用
すべての制度で同じ費用が発生するわけではなく、自施設で担う業務と外部へ委託する業務でも金額は変わります。
特定技能1号の義務的支援に必要な費用は、本人に負担させることが認められていません。
紹介料が安いかだけで決めず、採用後も必要な支援を続けられる予算かを確認してください。
採用から入職までの期間
入職時期は、内定日だけでは決まりません。
海外からの特定技能採用では、送出機関・MWO等の準備、日本の在留審査、査証、出国手続きに必要な期間を見込みます。
各窓口の審査期間と、採用全体にかかる期間を分けて考えることが大切です。
EPAは年度ごとの日程で進み、2027年度のフィリピン人候補者は、2027年12月上旬頃の就労開始が予定されています。
この募集の求人登録申請は終了しており、現在の採用依頼から同時期に入職できるという意味ではありません。
人員計画では、内定・在留許可・入国・就労開始の予定を分け、手続きの進捗に合わせて入職時期を確認しましょう。
フィリピン人介護士の採用に関するよくある質問
最後に、資格や担当業務、長期雇用についての疑問にお答えします。
採用できるか、どの業務を任せられるかは、本人の資格と在留状況に応じて判断しましょう。
フィリピンの介護資格があれば日本で働けますか?
フィリピンの介護資格を持っているだけでは、日本で介護職として働けるとは限りません。
母国の資格、日本の介護福祉士資格、日本での就労を認める在留資格は、それぞれ別のものです。
特定技能なら必要な試験や免除条件を、EPAなら候補者の要件を確認します。
フィリピンの介護関連資格であるNCⅡを持っていても、それだけで日本側の試験がすべて免除されるわけではありません。
候補者の資格名だけで判断せず、利用する制度の要件と照合し、フィリピン側で求められる資格・書類も送出機関等に確認してください。
夜勤や訪問介護を任せられますか?
在留資格と本人の技能、施設・事業所の体制などの条件を満たせば、担当できる場合があります。
夜勤は国籍だけで可否が決まるものではなく、技能実習など制度ごとの配置・指導上の条件と、安全な対応ができるかの確認が必要です。
例えば、技能実習では、昼夜を問わず指導に必要な範囲で技能実習生以外の介護職員を同時に配置することが求められます。
訪問介護等は、特定技能・技能実習でも、初任者研修等の修了、原則1年以上の実務経験、研修・同行、利用者等への説明などを条件に従事が認められています。
事業所側の事前の適合確認等も必要なため、配置前に制度別の要件を確認しましょう。
フィリピン人介護士を長期雇用できますか?
在留資格の条件を満たし、本人と施設の双方が希望すれば、長期雇用を目指せます。
ただし、現在の在留期限だけでなく、今後の更新や資格取得の見通しも確認する必要があります。
特定技能等で働いている人は、介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」への変更を検討できます。
EPAで資格を取得した場合も、継続して働く制度があります。
長く働いてもらいたい場合は、採用時から本人の希望する仕事内容や将来像を話し合い、給与・働き方・資格取得の見通しを共有しましょう。
資格取得が永住や同じ施設での継続勤務を保証するわけではありません。
まとめ:フィリピン人介護士の採用と定着に向けて準備しよう
フィリピン人介護士の採用では、教育や言語、生活の背景を理解しながら、一人ひとりの経験と希望を確かめることが大切です。
特定技能、EPA、在留資格「介護」などで窓口と手続きが異なり、日本在住者にも確認すべき条件があります。
まずは自施設の業務、採用人数、希望時期を整理し、候補者に合う制度と必要な準備を確認しましょう。
初期費用だけでなく、入職後の教育・支援の費用まで見込むことが、受け入れを進めるうえでのポイントです。
本人の資格取得や将来の働き方も話し合うと、長期的な雇用の見通しを共有しやすくなります。
Sakulaは、外国人介護士に特化した実務者研修を提供しています。
日本語教師の資格を持つ講師が、理解しやすい言葉で介護の知識・技術を指導します。
外国人スタッフの資格取得を支えたい施設の方は、外国人介護士向けの実務者研修からご相談ください。




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